AGV/AMR機能拡張システム「Begin+JIG」

AGVを使って物流搬送を手軽に自動化


AGV/AMR機能拡張システム「Begin+JIG」

AGVを使って物流搬送を手軽に自動化

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AGVの交差点制御 KEY×CON⁺

AGVの運用には交差点が必要です

AGVはスタンドアローン制御の自動走行ロボットです。上位のコンピュータから無線で指示を受けない限り他のAGVの状況を知ることができません。よって、交差点や合流地点ではお互いのAGV同士が衝突したり、センサーで止まり合ったりして上手く運用出来ないのです。これを解決するために多くの現場では大掛かりな制御盤やPCを設置し、構内にWi-Fiを張り巡らせ、1台・1台のAGVの運行状況を把握するシステムを構築します。比較的安価な自動搬送ロボットのAGVの相互制御がAGV本体より高額になることはよくあることで、1か所の交差点を解決できない為に計画が凍結することもしばしばでした。KEY×CONは、そのような高額なシステムに対し一桁低い予算で交差点制御を可能にする画期的な専用システムです。物流現場でAGVを活用させるためには自由なコースレイアウトを低価格で実現することが必要です。

AGV運用で交差点は必要なのか?

AGVを複数台走らせるとき遠い周を回る車と近い周を回る車に分岐・合流したり、待機ステーションに離脱して荷物を脱着し、再び幹線に侵入するとこなどコースレイアウトがさまざま考えられます。これが一筆書きの単純コースのみってなったらAGV運用の限界を感じますね。
AGVコースを自由に設計計画するための重要なパーツに分岐地点・合流地点があります。このパーツ選択肢の無いAGVで効率の良いAGV運用を考えることは、不可能と言っても良いでしょう。
自由な発想でAGVを使いこなすためにAGVのコースには交差点が必要です。

大掛かりな統括システムが不要なシンプルな交差点制御

私たちは、自動車の運転を行うとき自分の車と相手の車が合流するために、どのように判断していますか。赤信号は止まる、青信号は走る、など交通ルールに従って判断しています。見通しの悪い細道で信号も無く、急に横から別の車が入ってくると、ぶつかってしまうかもしれません。お互いが、ゆっくり走っていて、手前で気づけば相互に止まれます。お互いが譲り合ってなかなか進めなくなることも、あるかもしれません。交通ルールが無ければ、どちらが優先かも分かりません。AGVは、まさに信号のない細道をルール無しで走っているようなものなのです。
では、お互いの車が衝突しないためには、何をしたら良いのでしょうか。最も確実な方法は統括管理です。バラバラな意思を持って走る車を制限し、全体を見渡しながら次はここ、次はこっちと、走る順番を決めて最適な運用と道のりを示してあげる方法です。全ての車の位置を把握し、適切な指示を出すことで、最も安全で効率の良い全体運用が可能になります。まさにこれが大掛かりなシステムでAGVをコントロールしている状態です。問題は、非常に高いコストとインフラ整備が必要になります。
では、私たちが運転している現在、交通ルールと信号や標識で以外とシンプルな運用でスムーズに運転しています。信号機は交差する2本の道の停止・発進だけを示し、町全体の車の動きをコントロールしているわけではありません。KEY×CONの交差点制御は、まさに信号のようなシンプルな制御をAGVに与える機器なのです。

KEY×CONシリーズはリモコンから始まった

KEY×CONによる交差点制御の基本的な機能の一つは、AGVを停止・発進させる機能です。
KEY×CONの始まりは、まさしくAGVを止める・走らせるのリモコン制御から始まりました。複数台のAGVに番号を振り、その番号のボタンをリモコンで指示すると、AGVが発進し、もう一度押すと止まる。それだけです。

リモコンの運用

これ、何に使ったかというと、フォークリフトに乗っている作業者がフォークリフトから降りずにAGVをコントロールしたいという要望から開発されました。パレットを牽引するAGVをリモコンで止め、フォークリフトでパレットを載せ、リモコンで発進させる。もし、リモコンが無かったらフォークから降りて、AGVを止めフォークに乗ってパレットを台車に載せて、フォークリフトから降りてAGVを発進させフォークに乗る、2回フォークリフトから降りる必要があるのです。けっこう便利な機能として堅調に販売されました。

交差点制御に必要なもの

走る・止まるをAGVに対し電波を使って行うリモコンが出来ると、交差点制御に少し近づきました。
次に必要なものは、ここが交差点であるということを認識することです。
 自動車の運転で言うと、停止線や標識でここからが交差点で、横から車が来るかもしれませんよ、という表示です。
 それぞれのAGVが、ここが交差点で自分は交差点内に入っているのか、出たのかを認識し、それを周囲に示すことができれば、相手のAGVの状態を知ることができるようになります。
交差点内に既に入っているAGVが「自分は交差点内に居ます」って信号を出して、別のAGVがその交差点に入ろうとした時点で「止まる」を選択できること、これが安全な交差点制御の基本構想です。

実際のAGVのコースイメージ

左の図のように床に入口と出口のマークを貼り、それを認識したら指定エリア内に侵入・退出したことをAGV側で認識します
上図のように交差するAGVのコースで侵入中のAGVが居る時、別のAGVは入口でそれに気づき停止することができます。
先発のAGVが出口を読み、指定エリア(交差点内)を出ると、そこに誰も居ないことが分かり後発のAGVは発進します。この時も自分がこの交差点内に居ることを周囲に示しながら進みます。
この制御方式には、地上で統括するシステムがありません。床に貼ったマークを読み、侵入しているのか、退出しているのかを周囲に示し、同様に侵入しようとしているAGVが、先発が居るから止まるを自主的に選択するのです。この「早い者勝ち」という交通ルールをそれぞれのAGVが守ることでこの制御は、成り立っているのです。

KEY×CONの機器構成

【AGV本体と走行ルート】
各社・各機種のAGVに対応しており、異種AGVの運用も可能です。現場の特徴に合わせてAGVを選択することが可能です

 
【KEY×CON本体】
AGV1台に1台取り付けます。お互いの電波の受送信と判断を行います。
AGVと繋ぎ、停止・発進の信号を出力します。QRリーダーもここに繋ぎます。
【QRリーダー】
KEY×CON本体に接続。床のQRマークを読み取り、KEY×CON本体に状況を報告します。
【QRシート】
コースに沿って床に貼ります。複数個のQRコードは同じ内容で読み取りミス率を減らしています。表面に汚れや剥がれに強い保護を施しています。裏面が粘着テープになっています。シート内のマーク情報が複数あり、複数ヵ所の交差点に対応します。

実際のKEY×CON交差点運用

AGVにKEY×CON本体とQRリーダーを取付、交差点コースを作りました。床にQRシートの入口と出口を貼ります。
QRシートの入口(IN)は(大数字)で01~10、枝番(小数字)で1~4 存在します。
同じ交差点を表す(大数字):交差点番号
優先順位を表す枝番(小数字):優先順位です。
出口は、共通の出口マーク(OUT)となります
左の図のような交差点の入口2か所は「IN01-1」と「IN01ー2」を使用し、出口は「OUT」を貼ります。
【枝番:優先順位】交差点制御は基本動作として、先に進入した側のAGVが先に通行し、後着が停止して待ちます。ただし、先着が進入最中に両方の入口に1台づつ到着することがあります。その場合に予め優先側を決めておき数字の小さい方が先に発進することとします。これにより幹線通路側と支線通路側の優先順位を作ることが出来ます。
 

交差点番号(大数字)

開発初期、QRリーダーを使わず磁気センサーで交差点の有無を認識する方法を取っていましたが、交差点の違いを認識できない為、全ての交差点で通行できるAGVが1台と限られました。(現在廃版生産終了)
QRコード仕様になり、交差点にNO.を付け、各交差点ごとに優先判断を行うことが出来るようになりました。これにより交差点の数が多く、AGV台数が多い場合の交差点制御が可能になります。
交差点番号(大数字)No.はそれぞれの交差エリアごとに付けられたNo.で、隣の交差点と干渉しない工夫です。

KEY×CON⁺の設置要領(磁気誘導方式AGVの例)

ここでは、磁気誘導方式のAGV(キーカート)でKEY×CON⁺の交差点を作る要領を紹介します。
 
KEY×CONとQRリーダーは予めユニット化された状態で納入されます。※AGVの仕様に合わせてブラケットが異なります。
キーカートの場合、機種に合わせてユニットで納入されるので、組付け要領書に沿ってキーカートに取り付け、配線を行います。
実際のKEY×CONユニット
キーカートに取り付ける前の写真です
(キーカートショートタイプ)
QRリーダが床から適正な位置に来るよう設計されたユニットです。
微調整は不要です。
次に、床に貼り付けるQRシートについて、説明します。
磁気誘導式AGV(キーカート)のコースが完成している状況です。
キーカートに取り付けたQRリーダーの位置より、磁気誘導ラインから決められた距離離して配置します。
すぐに裏面のテープで貼らずに養生テープなどで仮貼りを行い、走行テストの後に本貼りすることをお勧めします。

コース設定の注意事項

POINT1 走行速度は遅いほうが良い
AGVの速度はなるべく遅い方が読み取り不良が発生し辛いです。
10~25m/minで走行することを勧めます。
POINT2 直進中に読みましょう
AGVがカーブやコーナーを曲がっている最中は、走行が左右に不安定になり、QRコードから
外れる為、読み取り不良になる場合があります。
AGVが安定して直線を走ってところにQRコードを貼りましょう
POINT3 外光(太陽光)に弱いです
屋外からの光(太陽光)の強い場所では、QRコードの読み取り不良率が上がります
可能な限り太陽光の影響を受けづらい場所にQRコードを貼りましょう
POINT4 QRコードの汚れを定期的に落としましょう
QRコードシートは、表面を特殊な加工でコーティングしていますが、汚れが付いた場合
読み取り辛くなります。定期的な清掃を心掛けてください。
また、汚れや破損し辛い場所を選んで、QRコードを貼り付けましょう。
POINT5 交差点の範囲は小さく作りましょう
電波が安定して届く距離を確保する為、交差点の範囲はなるべく小さく作りましょう。
電波範囲は30m程度ですが、金属製の柱やラック、機械装置などの影響を受けて
著しく減衰する場合があります。
POINT6 停止タイミングにバラツキがあります
KEY×CONからAGVに停止(発進)信号を出して、実際に動作するまでにタイムラグが
生じます。相手のAGVに干渉しないよう、十分に間隔をとってコースを作ってください
POINT7 QRコードの上に透明保護テープを貼らない
QRシートは特殊な強化保護を施しています。QRコードの上に透明テープを貼ると反射率が変わり、読み取り不良の原因となります。見た目に透明であっても、光学的に読みづらい状態となります。QRコードに被らない、シート周囲の貼り付けは問題ありません。

KEY×CON⁺ さまざまな使い方 

複数台 等間隔制御:ペースメーカー

【複数台AGV運用の渋滞】
複数のAGVで同一線上をグルグル回ることで連続的な搬送が可能になり、非常に高い効率の搬送運用が可能になります。
ただし、一度走行ピッチが詰まってしまうと、なかなか等ピッチに戻ってくれません。それにより作業の手待ちが起こり、その後一斉にAGVが到着することになり、作業効率が上がりません。
 
【KEY×CONによる等間隔制御】
前を走行するAGVがB地点に到着するまでA地点で後続車は待機する。A⇒Bの間は電波を発信しながら走行し、A地点の後続AGVを停める。Bまでの間に先行車が居なければ、そのまま走行する。周回全体でこのピッチが守られるので定期作業が可能になり、作業性が向上します。
 
1本線に入口と出口シートを貼ります。貼る距離間隔は上の図の1周をAGV台数で割った距離です。1周100mに10台のAGVが走っていれば10mです。入口⇔出口を10mで貼るだけで等間隔制御が完成します。
 

単線を2台のAGVが走る

電車でよく使わせる制御方法ですが、単線の中央の駅で分岐して2台の電車が入れ替わる制御と同じ方法です。中央の駅に2台の電車が到着して、単線内に電車が居ないことを確認して入れ違いの電車が侵入します。
左図の中央駅上側のAGVがKEY×CON⁺入口01を読んで右側の単線に侵入し、Uターン又はバックで戻ってきます。戻ったAGVは中央駅下側に侵入して、出口を読みます。逆側も、中央駅下側から出発したもう1台のAGVが入口02を読み侵入し、単線を戻ってきます。お互いが駅に戻り出口マークを読むまでは、もう一台は単線に入ることは出来ません。
※ただし、単線の距離は電波の届く範囲(30m)程度までとなります。

分岐・合流の2台運用

START→Goal1 START→Goal2にそれぞれ1台づつAGVが走行し、共通のSTARTを利用している。両方のAGVがSTARTに侵入すると衝突します。START→分岐間に相手のAGVが居ないことを確認してから侵入する必要があります。KEY×CON⁺を使えばこのような制御も簡単です。
※ただし、分岐⇔START間の距離は電波の届く範囲(30m程度)での運用となります。

交差点制御とあわせて使いたい機能

シートシャッター通過時の安全開閉制御

AGVが構内のいろいろなところを通過するとき、シートシャッター(クイックシャッター)を通過することもあります。シートシャッターは一般的に人感センサーでシャッター近くに人が近づくと開き、人気が無くなると閉まります。とても便利です。AGVがシートシャッターに接近すると人感センサーが働いてシャッターが開き、そのまま通過で出来ます。
 しかし、人感センサーで開き、通過中にAGVが一時停止したり、AGVが牽引しているカゴ台車などの荷物にセンサーが反応しなかった場合、シャッターが閉まり始めます。そのタイミングにAGVが動いていると、シャッターを壊しながら走ることになります。
KEY×CON⁺シートシャッター制御機能を使えば、シャッター手前の入口マークを読んで出口マークを読むまで、ず~っとシートシャッターを開け続けてくれます。人感センサーに頼らないシャッター制御方式です。

防火シャッターの閉鎖障害を防止するSPC制御

【SPCシステムとは】
SPC(Shutter priority control )は、搬送用ロボット(AGV・AMR)が建屋の防火区画を通過する際に防火シャッターの閉鎖障害にならないための制御機器です。
【搬送用ロボットが閉鎖障害になる とは】
自動走行で荷物を運ぶ搬送ロボットは、広い建屋内の防火シャッターを幾つも通過します。通過するときに防火シャッターが下降し始めるタイミングによっては、搬送ロボットの障害物センサーで検知できず、シャッターに挟まれることが考えられます。また、ロボットが挟まれなかったとしても、その後ろの搬送荷物がシャッターに挟まれることも考えられます。
この状態が閉鎖障害となり、防火シャッターの機能を阻害する行為となります。
【搬送ロボットに閉鎖障害を起こさせない機能:SPC】
火災において、シャッタの下降は、止めることのできない優先(priority)行動です。よって、搬送ロボットは、防火シャッターの下降状況を随時監視し、停止又は退避通過することで閉鎖障害を回避する必要があります。SPCはシャッターの状態監視と搬送ロボットへの指示を的確に行うための搬送ロボット制御システムです。