AGV/AMR機能拡張システム「Begin+JIG」

AGVを使って物流搬送を手軽に自動化


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防火シャッターの閉鎖障害対策

見逃してはいけない AGVによる防火シャッター閉鎖障害

2017年に発生した大規模倉庫火災を受けて、国土交通省および消防庁が実施した調査により、大規模倉庫のおよそ3割で消防法令違反が確認されました。これを受け、多くの倉庫ではさまざまな対策が講じられてきました。
 
とりわけ、倉庫を運営する事業者は、自社の安全衛生や防災担当者による日常的な巡回を徹底し、防火シャッターの閉鎖を妨げる物品が置かれていないかを点検するようになっています。
 
しかしながら、防火区画をまたいで設置されているコンベヤなどの設備や、火災発生時にそれらが適切に防火機能を果たすかどうかについて、誰がどのように確認しているのかが不明確なケースも見受けられます。特に、機器同士の連携など技術的な判断が必要な部分については、より踏み込んだ対策が求められています。
 
なかでも、コンベヤや配管・配線のように目視で確認しやすい設備と異なり、AGV(自動搬送ロボット)などの移動機器による防火シャッター閉鎖障害(下降障害)は、通常シャッターの下に機器が存在しないため、巡回点検では見落とされやすく、実際に見逃されているケースも多く報告されています。

AGVによる防火シャッター閉鎖障害とは

物流倉庫で活躍しているAGV(自動搬送ロボット)は、広大な倉庫内で荷物の搬送を担い、縦横無尽に走行しています。こうしたAGVは、防火シャッターの下を通過する場面が非常に多く、ほぼ必ずといってよい頻度で通行しています。
 
特に、荷役用のカゴ台車や6輪カートを牽引して走行する場合、AGV本体と台車を合わせた全長で移動するため、防火シャッター下を通過する際にはその長さが考慮される必要があります。
 
AGVには安全確保のため、必ず前方に障害物センサーが搭載されています。このセンサーは主に赤外線を用いて前方の人や物を検出し、障害物を感知すると自動的に減速または停止する仕組みとなっています。
【防火シャッターを通過するAGV】
【AGVが引き起こす防火シャッターの閉鎖障害】
火災が発生し、防火シャッターが降下を開始した際に、AGV(無人搬送車)がシャッター直下付近を走行していたとします。
このとき、AGVの障害物センサーが降下中のシャッターを正しく検知できれば、AGVはシャッターの手前で停止し、防火シャッターは正常に床まで降下します。
しかし、センサーがシャッターを検知できずにAGVがそのまま通過してしまった場合、AGV本体がシャッターに挟まれる、あるいは後部の積載物がシャッターに引っ掛かるおそれがあります。その結果、防火シャッターが正常に降下できず、閉鎖障害が発生する可能性があります。

AGVの閉鎖障害対策の実態

テナント型物流倉庫の大規模化に加え、人手不足や人件費の高騰といった要因により、AGV(自動搬送ロボット)の活躍の場は急速に拡大しています。
特に、倉庫全体にシステムを敷設して集中運行管理を行うような高度かつ高額な自動運用方式ではなく、AGV単体で稼働可能な、安価で簡易的なAGVの導入が急増しています。
こうした背景の中で、集中管理機能を持たないAGVに対して火災警報を伝達し、それに応じた制御を行うことは、非常に困難な技術的課題となっています。
現実的な規模やコストの観点から見ても、AGVに対して新たに集中管理システムを導入・増設するのは難しいのが現状です。
このような状況においては、AGVの運用形態に即した防火シャッターの閉鎖障害対策が強く求められています。

消防からの指摘 運用で対策を行うと・・・

 防火シャッターを通過するAGVに対し閉鎖障害を起こさないよう消防より要請があった場合、どのような対策を考えれば良いのでしょうか。実際の現場の事例を紹介します。
磁気テープ走行のAGVを3台購入されたお客様の事例
対策案1
火災警報を受信し、各AGVの走行位置を把握したうえでAGVを安全停止する。集中運行管理と無線通信による指示機器の増設が必要。総額1千万円を超える設備増設を必要とし、AGV購入額を超えるシステム費が必要。
対策案2 シャッター手前でAGVをプログラム停止し、安全を作業者が目視確認したうえでAGVに対し再発進操作を行う運用にする。5か所のシャッターに対し5回操作が必要であり、また通行の度に作業者が確認作業を行うため、AGVを導入したメリットを失う。
対策案3 シャッターを通過しないルートの再作成。スタートからゴールまでシャッターを通過しないルートでは運用上意味をなさず、断念。
このように安全衛生や防災の観点より防火シャッターの閉鎖障害対策はとても重要なことでありながら、現実的な解決方法を行うことが非常に難しいことが分かります。

新発売!【KEY×CON SPC による閉鎖障害対策】 特許出願中

SPC : Shutter priority control  AGV用防火シャッター優先制御
このたび、MONOLIXの交差点制御機器「KEY×CON」シリーズから、AGV用防火シャッター優先制御機器「KEY×CON SPC」が新たに発売されます。
本製品は、広範囲な運行管理システムや広域Wi-Fiの設置を必要とせず、防火シャッターおよびAGVに専用端末を必要数取り付けるだけで、低コストかつ確実に防火シャッターの閉鎖障害対策を実現することが可能です。
さらに、AGVに搭載する「KEY×CON」は従来の搭載機器と同一であるため、防火シャッター制御に加えて、AGV同士の交差点制御や渋滞緩和用途にも引き続き活用できます。

KEY×CON SPC の原理

MONOLIXはこれまで、AGV同士の交差点での相互通行を制御する機器「KEY×CON⁺」を提供してきました。このシステムは、AGVにQRリーダー付き制御端末を取り付け、交差点の入口および出口にQRシートを設置することで、AGV同士の交互通行を実現するものです。
 
新たに登場する「KEY×CON SPC」は、同様の制御端末(シャッター用)を防火シャッターのレール付近に磁石で取り付けることで利用可能です。電源は一般的な100Vコンセントのみで動作します。
防火シャッター手前に入口用のQRシートを、通過後の位置に出口マークを設置することで、AGVの通行制御を行います。
 
また、シャッター側のSPCには、防火シャッターの下降を常時監視するセンサーが搭載されており、火災報知信号を用いることなく、実際のシャッターの物理的な下降動作を直接検出します。

KEY×CON SPCの動作

防火シャッターが下降を開始した際、AGV側がすでに入口のQRマークを読み取っている場合は、AGVがシャッターの下降速度から見て十分に通過可能な位置にいると判断されます。このため、AGVはそのまま通過を継続します。
 
一方、シャッターが下降を開始した時点でAGVがまだ入口QRマークを読み取っていない場合は、AGVがシャッター付近に到達していないと判断され、シャッターはそのまま安全に降下を続けます。
 
さらに、シャッターの下降開始後にAGVが入口QRマークを読み取った場合には、シャッター側の装置がすでに下降動作を検出しているため、AGVはQRマーク付近で停止するように制御端末から指示が出されます。
 
これにより、シャッター下降中のAGVの侵入を防止し、防火シャッターの閉鎖障害を確実に回避することが可能となります。

KEY×CON SPC の動作

防火シャッターが下降を開始した時点で、AGV側がすでに入口のQRマークを読み取っている場合は、AGVがシャッターの下降速度に対して十分に通過可能な位置にいると判断されます。そのため、AGVはそのまま通過を継続します。
 
一方、シャッターの下降開始時にAGVがまだ入口QRマークを読み取っていない場合は、AGVがシャッター付近に到達していないと判断され、シャッターは支障なくそのまま降下します。
 
また、シャッターの下降開始後にAGVが入口QRマークを読み取った場合には、シャッター側の装置がすでに下降動作を検出しているため、AGVはQRマーク付近で制御端末からの指示により停止します。
 
この制御により、AGVがシャッター降下中に進入することを防ぎ、防火シャッターの閉鎖障害を確実に回避することが可能となります。

消防検査で指摘されなければ対策は不要なのか?

愚問に聞こえるかもしれませんが、現在の消防検査において指摘される事項は、防火シャッターの機能・性能や、その下に置かれた荷物の管理といった従来の項目が中心であり、AGVに関する指摘はまだ少ないのが実情です。
しかし、火災発生時に適切な防火措置が講じられることは、倉庫業法に基づいて当然求められるものであり、営業倉庫においては倉庫管理主任者を選任し、安全管理体制を整備することが義務付けられています。たとえ、防火管理者の選任が法的に必要とされない倉庫であっても、火災予防業務は倉庫管理主任者等が主体となって実施し、万全な安全管理対策を講じるべきです。
 
AGVを導入・運用するにあたっては、防火シャッターの閉鎖障害対策を積極的に講じ、安全性の確保に向けた取り組みを率先して進めていただきたいと考えます。

AGVメーカーの取り組み

AGV(自動搬送ロボット)メーカーにおかれましては、防火シャッターの閉鎖障害に対して責任ある立場から、ユーザーへの安全対策に関する啓発に努めていただくとともに、火災発生時に適切な防火措置が確実に講じられるよう、機器の導入を通じてその実現に貢献していただきたいと考えます。
KEY×CONシリーズ KEY×CON SPC について
KEY×CONシリーズ KEY×CON SPC について